医療行為ができるのは医療従事者のみなので、介護士は医療知識を持つ必要がないと考える人もいるでしょう。しかし医療行為には当たらないものの、体温測定やちょっとした切り傷などのケガの処置、ガーゼの交換など、介護の現場では医療的ケアを行うことも多くあるのが現状です。医療的ケアを間違った形で行わないためにも、最低限の医療知識を身につけておくことが大切です。
ほかにも介護士が医療知識を身につけることで、利用者のちょっとした異変に気付きやすくなります。そして異変に気付いたとき、違和感があるというだけではなく、知識があれば具体的にどのような点がおかしいのか異変を具体的な症状で説明することが可能です。例えばろれつが回っていない、右手がしびれているなどの症状を詳細に説明できれば、医療従事者への報告が正確になるため適切な対応にもつながりやすいのです。
介護士の仕事は、異変を感じても医療従事者を呼ぶべきか判断に迷う場合もあります。このとき介護士に医療知識があれば、すぐに医療従事者を呼ぶべきかどうか症状の判断がしやすくなります。また、知識があることで、電話で症状を伝えて医療従事者に相談することも可能です。医療行為ができないから学ぶ必要はないと考えるのではなく、利用者に寄り添う立場の仕事だからこそ、少しの異変も見逃さないように知識を身につけていく必要があります。まずは利用者に多く見られがちな症状から知識をつけて、利用者を日々観察しながら少しの異変にも気付ける目を養っていくことが大切です。